【感想】第2章 バビロン一の大金持ち『バビロン大富豪の教え「お金」と「幸せ」を生み出す五つの黄金法則』
第1章の続きのお話です。
バビロンに住む二輪馬車職人のバンジールと楽師のコビは、いくら働いても抜け出せない貧乏生活に嫌気がさしていました。そんな折り、ふと幼い頃の友人で今はバビロン一の大金持ちと言われているアルカドのことを思い出します。
アルカドのような金持ちは一体どうやって収入を得ているのだろう。
それを学ぶことで自分たちも今の貧しい暮らしから抜け出せるかもしれない。
そう考えた二人は自分たちと同じような暮らしぶりの友人たちも誘って、古い友でバビロン一の大金持ちアルカドを訪ねることにしました。
あらすじ
ある日、バビロン一の大金持ちと言われるアルカドのもとに幼い頃の友人たちが訪ねてきました。
アルカドと彼らは昔、同じ教師から学問を習い、一緒に遊んで過ごしました。アルカドは出自や才能に恵まれていたわけではなく、特に目立つ存在ではありませんでした。
それなのに数十年経った今は世界で最も裕福な街バビロンで一番の大金持ちと言われています。
友人たちはアルカドがどうやって今の資産を築いたのか知りたがったので、アルカドは自分が富を築き始めたきっかけを話しました。
収入の十分の一を貯金せよ
アルカドは若い頃、お金持ちになることを望みながら、働けど働けどお金が貯まらないことに苦悩していました。
しかしある日、アルガミシュという金貸しと出会い、お金持ちになる秘訣を教わります。
その第一歩は収入の十分の一を貯金することでした。
収入を得たら食べ物や服を買って他人にお金を支払うより先に、一部を自分のものとして貯金する。
言われてみれば、これまでアルカドが稼いだお金は食べ物、服、神々への供え物、その他記憶にも残らないあれやこれやで全て消えていて貯金するお金は残っていませんでした。
アルカドは言われた通り収入の十分の一を貯金することにしました。
蓄えたお金を働かせよ
アルガミシュは収入の十分の一を貯金して蓄えができたら、その蓄えたお金を自分のために働かせるよう言いました。
貯金を継続できるようになったアルカドは、その教えに従い蓄えたお金を働かせようとしますが、貯金とは違ってお金を働かせて財産を増やすためにはいくつか学ばなければならないことがありました。
財産を失わないよう、投資は慎重に行う
収入の十分の一を貯金し続けて一年。
アルカドは初めての投資を行ないますが、失敗して貯金をすべて失うことになります。
アルカドが投資したのは、煉瓦職人のアズムールが持ちかけてきた儲け話でした。
アズムールがテュロスまで旅をして宝石を仕入れてくるので、それを売りさばいて儲けを山分けしようと言うのです。
アルカドは宝石の買い付け資金として一年かけて蓄えてきたお金を渡しました。
しかし宝石について素人だったアズムールは騙されて無価値なガラス玉を売り付けられて帰ってきたのです。
この一件からアルカドは次のことを学びました。
- 商売をするときは、その分野に詳しい専門家の知識を頼ること
- 金銭の扱いに明るくない人間に蓄えに関する助言を求める者は、その人間の間違いを証明するために蓄えを投じるはめになる
煉瓦作りが専門のアズムールに宝石を扱う商売を任せるべきではなかったのです。
十分な資産を築くまで運用の利益は再投資する
アズムールとの儲け話が失敗したあとも、アルカドは諦めずに貯金を続けました。
再び蓄えができたアルカドは次に盾職人のアッガーに融資をします。
アッガーは盾の材料を仕入れるために資金が必要でした。
この融資はうまくいき、アルカドは四ヶ月ごとに利息を受け取って美食を楽しんだり上等な服を買ったりしました。
しかしアルガミシュと再会したとき、このような利息の使い方を注意されます。
貴公は蓄えが生んだ子どもを食いつぶしておる。
それでどうやって、その子どもらに働いてもらうのだ?
どうやって、子どもらに孫を生ませ、孫たちに働いてもらうのだ?
まずは、”金の奴隷”をおおぜい手に入れ、そのうえで憂いなく美食を楽しむがよい
アルガミシュの言う通り、受け取った利息を食べ物や服に費やしていたアルカドの資産は増えてはいなかったのです。
以後、アルカドは利息を受け取ったらそれは次の融資の元金に加えるようにしました。
そうすることで前より受け取れる利息が増えていき、資産が早く育つことに気付いたのです。
その後、これまでの経験を活かして資産を上手く運用できるようになったアルカドは高齢にアルガミシュから誘いを受けて彼の事業の共同経営者になり、資産の一部を分け与えられました。
今からでも財産を作り始める
アルカドは話を終えると、アルガミシュの知恵を取り入れて今からでも財産を作り始めるよう友人たちに勧めました。
時は過ぎ去って自分たちはもう若人ではないが、老後や自分の死後に残される家族のために少額の積み立てを行うことは今からでも始められる。
また先見の明がある者は資産形成のための元手が降って湧くような幸運を期待して備えを遅らせることはしないのだと。
アルカドの言葉を理解できず、すごすごと立ち去る者もいましたが、理解した者たちはその後も足しげく訪ねてきてアルカドの知恵を頼りました。
アルカドは彼らの相談に乗り、蓄えを投資する際はしかるべき利益が安全にもたらされるように計らいました。
こうしてアルカドも彼の友人たちも、貧しい暮らしから抜け出し富を手にする転機は知恵をもつ先人によってもたらされたのです。
感想
最近の蓄財関連のYoutube動画やブログの内容をできるだけ抽象化して「ここだけ覚えとけ」という部分を抽出したらこんな感じかなという印象を受けました。
資産形成の要点はしっかり抑えつつ、手法は細かく論じないので物語に没頭しやすく読みやすかったです。
資産形成に興味を持ち始めたばかりの人が貯金や投資をしていく上で覚えておくべき普遍的な考え方が凝縮されています。
次のリストはこの章で覚えておくべきポイントを私なりにまとめたものです。ここを抑えていれば貯金や投資と向き合うときに変な方向へ行ってしまうことを防止できると思います。
- 収入から先取りで貯金し、貯蓄率は10%とする(余裕があれば増やしてもOK)
- 投資の際は元本を失わないよう注意すること
- 資産運用の相談は金銭の扱いに長けた人にすること
私自身、まだ大して資産形成が進んでいるわけではないので偉そうなことは言えませんが、これから蓄財を始める人は特に「収入は先取りで貯金し、貯蓄率は10%とする(余分があれば増やしてOK)」これを忘れないことが大切です。
どういうことかと言うと、先取り貯金をやる人の中には頑張り過ぎる人がいて、必要以上に生活を切り詰めて辛い思いをしてまでも貯蓄率を10%→15、20、25%と上げることに固執してしまうんです。
収入に余裕がある人は貯蓄率を上げても良いと思いますが、そうでない人が貯蓄率を上げようとすると、ほんの1%上げるために支出のどこを削減すればいいか苦心することになります。
贅沢や無駄遣いもしていなくて給料の範囲で生活できているなら、それ以上節約しても大して貯蓄率の向上に寄与しないでしょうから、食事を質素にして倹約なんていう愚行はやめた方がいいです。
収入にあまり余裕がない場合、貯蓄率を10%で保つことでよしとしましょう。
貯蓄率を上げるために何か節約したいなら、スマホの契約をキャリアから格安SIMに切り替えるとか、使っていないサブスクを解約するとか、一度の手間で効果が恒久的なアプローチを考えてみると良いでしょう。
私はスマホの回線をauからpovo2.0に切り替えたことで毎月の携帯代が6千円→千円程度まで抑えられました。
※通信容量 3GB(30日間有効) 990円 + 通話料100円ほど
それから不要な生命保険も解約して月6千円が浮きました。携帯代と合わせて1万1千円の節約ができていますし、それで生活満足度は下がっていません(保険に関しては配偶者がいないので契約する意味もなかった、あの頃は今より未熟だった…)。
こういう一度の対応でずっと効果のある節約を積み重ねて、どんどん貯金を増やしていきましょう。
投資に関しては、現代日本には「つみたてNISA」や「iDeCo」という税制優遇が受けられて、しかも変な投資先に投資してしまわないように金融庁が投資できる金融商品を選定してくれている素晴らしい制度があります。
SBI証券か楽天証券でつみたてNISA口座を開設して、全世界株式かS&P500に投資するインデックスファンドを毎月自動買い付けしていれば一般人ができる投資としてはほぼ満点です。
2024年から新NISAが始まるのでそちらも楽しみですね。
あとは積み立てをしながら老後にどうやって資産を取り崩すか、リスクの低い資産に移行するかを勉強していけばいいのではないかと思います。
つらつらと私見を書き殴りましたが、要は手の届くことから始めようって感じですね。